経営者が「知らなかった」では済まされない
賃金管理
賃金管理は中・長期的なスパンで考えよう

「営業部のAさんから退職届が出ました」

総務部長から一言。これで、今年に入って3人目。
社長はガックリ肩を落とした。

なんでこんなに辞めてしまうのだろうか。

Aさんは大学の新卒で勤続3年目。お客様からの評判もよく、営業部のホープとして期待していた人材である。

「新卒で採用してこれから期待していたのに…」
「Aくんにはこれまで研修などたくさん投資をしていたし、これから会社に貢献してくれる筈だったのに」
「余分な社員はいないので、また、すぐ採用しなくては…最近は人がこなくなった…」
「お客様のフォローは大丈夫だろうか?」

しかし、突然、なんでこうなってしまったんだ!

社員が退職するという原因にはいろいろあります。仕事のやりがいや、最近では職場での人間関係など、多くの要因が考えられます。

しかし、最終的には賃金にたどり着きます。賃金が高ければ辞めないとは限りませんが、楽しい仕事でも賃金が低ければ続けることは難しいのです。

目に見える経費と目に見えない経費

人に関する経費には目に見える経費と目に見えない経費があります。目に見える経費には「昇給」「賞与」などがあります。目に見えない経費、これは

① 募集・採用のコスト
② 会社に貢献する前に辞めてしまった人件費ロス
③ 引継ぎのための重複する人件費ロス
④ 会社にいたら貢献していた稼ぎ損ないロス

経営者は目に見える経費にはすごく敏感ですが、目に見えないロスについては無頓着な方が多いようです。

目に見えない経費は思った以上に大きなロスになっています。一人辞めるだけで500万円/年以上になります。昇給や賞与以上に、定着力の向上が大きな鍵となります。

賃金管理の5原則

1. 同業他社に負けない初任給

良い人材ははじめからある程度決まっています。労働条件が悪い会社には良い人材は集まりません。その地域、同じ業種で負けない初任給を払えることが、業績向上の第一歩。

2. ソコソコの生活費を保証しよう

現在未婚率が上昇しています。若い世代で結婚できるだけの給与(プライド)がないからです。20代から30代前半にかけては奥さんをもらって、子供を養えるだけの昇給が必要になります。

3. 分かりやすい昇進昇格の仕組み

課長になりたがらない社員が増えています。昇進したら給与が減るという現象(役職手当が残業手当に及ばない)が起きています。昇進したら責任が増え、また給与も増える仕組みつくりが重要です。

4. 同一仕事レベル同一賃金の原則を採用しよう

2トントラックの運転手は20歳であっても50歳であっても、同じ仕事であれば同じ給料。仕事と給料のミスマッチが経営者と社員ともに不幸にします。

5. 法律をしっかり守ろう

給与の総額が多いから問題がない訳ではありません。法律に沿った支払い方が会社のリスクを軽減します。

賃金管理

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